阿蘇乙姫の地から南に広大な阿蘇山を望み、麓に乙姫神社、乙姫川上流の地に子授かり安産の守り神、乙姫子安河原観音様が鎮座されています。
乙姫川上流の地に乙姫子安河原観音様は「子授かり安産」の守り神として広大無辺な慈悲の姿で鎮座されています。上向きに寝た女体の形をした自然石が観音様のお姿です。神功皇后が渡海の際、御懐妊中であったので尊体の安全、安産を祈られたと伝えられ、また大正天皇の御出生にあたり、第87代阿蘇大宮司惟敦は、七日七夜、御安産を祈られ、その御神石を宮中に奉持し大金を下賜されました。(明治12年)このように古来から皇室の尊崇あつく遠近各地の信仰をあつめて参拝者が絶えませんでした。子授けを願う人は祈願のうえ、ここの河原の石を持ち帰り股にはさむと必ず子宝に恵まれると言い伝えられています。
子供の欲しい人や、かつて難産を経験した人達が安産を得ようと遠方から遥々お参りにやって来られます。乙姫子安河原観音の本社は麓の乙姫神社、毎年5月8日の例祭には多くの参詣者が訪れる歴史ある子授かり・安産の守り神です。
むかし、黒川のここ乙姫に赤松の大木があって、天気の良い日に松の中段に、何かキラキラ光っているのでよく見ると、金の御幣が掛かっていた。「きっと神様がお泊りになっている」というので、阿蘇のお宮に使者を出したら、乙姫さんがお移りになったということが分かった。どうしてお移りになってこられたかは、人に見られたくないということで、また疱瘡にかかられて良くなられたので出てこられたとも伝えられている。そのようなことでこの神様は疫病平癒の神様として、昔から子供を持つ母親が幼児をつれてお参りする者が多いという。乙姫神社の御神体は、後ろ向きに祀ってあって、お顔を人に見られぬようになっているという。